遺品整理
引っ越しまであと半年あるけれど、少しずつ家の中を整理しようと片付け始めた。
問題は息子の部屋の片付けだ。
息子が居なくなっても息子の部屋はそのままにしている。
ベッドも布団も、テーブルの上も、本棚も着ていた服も、全てが息子が生前使っていたままにしている。
息子が使っていた歯ブラシもお箸も食器も何一つ捨ててはいない。
息子は二度と戻ってくる訳ではないのに、パソコンもゲームもマンガも本も服も、もう必要としていないのに、息子の物を処分出来ずにいる。
息子の物を処分するのは、ある意味、酷だ。
息子の生きていた証をひとつひとつ無くす作業となる。
物質世界のこの世界は、存在の有無は形あるものに限られる。
息子の文字が書かれたノートも、小学生の頃から捨てずにこっそり取っておいた通知表も、息子が愛用していたコートや鞄も、全てが息子の生きていた証しであり、息子の存在を思い返してくれる物である。
いつかは必ず処分しないといけないとは思うけど、何かのきっかけがなければ出来そうにもない。
かといって、私が亡くなったあとは、遺された娘に全部を託すことは出来ないし、したくない。
先日、息子の部屋に入って、息子の物を整理しようとしたら、急に動悸がして涙が溢れてきて何も出来なかった。
その事を娘に伝えると、「ママ、無理して片付けないでいいよ。私が帰ったときに一緒にしよう。」と言ってくれた。
息子の物を処分する…
息子が居ないことを受け入れる。
今更ながら、本当に辛い。
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